なぜ多職種協働が必要なのか?
介護に必要なのはチームケア
高齢化に伴い、介護職の需要が高まっています。介護職の仕事は高齢者の身の回りのお世話だと思っている人も多いのですが、実はそれだけではありません。介護保険制度をきっかけにして業務範囲も拡大しています。高齢者の増加を受けて介護職の重要性は今後ますます高まっていくことが考えられます。介護職はさらに専門的な知識を持ち、利用者のケアにあたらなければなりません。これまで以上にチームケアが求められるようになってくるでしょう。1人が頑張れば何とかなる、といった考えは通用しないのです。これからは高齢者の要望を叶えるために、さまざまな職種の人たちがひとつのチームになって取り組んでいく多職種協働が必要になります。
多職種協働とは?
これまで介護職といえば特別養護老人ホームなどの介護施設で働くのが一般的でしたが、近年は高齢者の割合が増加していることもあり、施設から在宅へ、在宅から地域へと移り変わってきています。この流れの中で介護職は、保険・福祉、医療など専門的分野に携わる人たちとひとつのチームとなり、連携しながら高齢者のケアにあたるようになりました。
高齢者のケアといってもただ身の回りのお世話をするだけではありません。高齢者は1人ひとり状態や状況が異なりますし、色々な希望を持っています。疾病問題や日常生活の問題、経済面の問題、などあらゆる面を考慮して高齢者の望むケアを提供しなければなりませんが介護職1人では限界があります。他職種の専門家と連携を取りながら提供していく必要があり、これを「多職種協働」といいます。
必要な理由
「多職種協働」という言葉の意味を定義するのは難しいことですが、分かりやすく説明すると「質の高いケアを提供するために、さまざまな分野の専門家たちが同じ目標に向かって一緒に働く」ということです。介護職の業務は多岐に渡っています。役割がシフトしていくにつれ、介護職は所属機関の内外を問わず、看護師や保健師、理学療法士や言語聴覚士、栄養士、社会福祉士、精神保健福祉士、医療ソーシャルワーカーといった職種との連携が必要不可欠になります。しかし、連携が必要なのは保健・福祉、医療の分野だけではありません。例えば、高齢者と移動する時に公共の交通機関を利用する場合、交通機関担当者や運転士と予定を調整するなどの連携が必要になります。このようにさまざまな職種の人たちと連携することによって介護職1人では不可能だったことが実現可能になるのです。
また、連携することによって負担も分散できます。チームとして連携が取れていれば高齢者だけではなく自分たちにとってもプラスになります。